2008年2月17日

ニューヨークからのメール

久しぶりにニューヨークの友人(アメリカ人)から長文のメールが届いた。17年前、私が彼と知り合った時、彼はバリバリに左寄りで、当時の共和党政治(パパブッシュ政権)を痛烈に批判していた。その彼が9.11以降、共和党支持に変わったとの驚愕のメールである。

彼は現行ブッシュのイラク戦争において取った政策は批判するものの、イラク戦争を起こしたこと事態は支持すると言うのである。これは現在進行する中国とロシアの緊密な関係や、EUが必死にトルコを取り込もうとしていることからも見て取れるように、エネルギー政策上、アメリカを守る上で必要な政策であったと信じるようになったと言う。また彼は、今後25年以内に、エネルギー、資源、物資調達に伴う対立から、世界はアメリカ側社会と、中国側社会に分裂すると考えていると言う。

このようなエネルギー、資源調達をめぐる世界の分裂を避けるには、ほぼ完全に循環型エネルギーを使用した社会に移行しなくてはならないが、ここにきて、どうやらそれを先に成し遂げるのが、現在、同分野での技術、政策ともに抜きん出ているドイツ、欧州のようである。

日本は中国を生みの親、育ての親として持ち、米国を就職先のボス(?)として持ちながら、この両者を割って入ることのできる政治力も政策も、残念ながら現状持ち合わせていない。この分裂を取り持つことができれば、日本の存在感が増し、将来的に大きなアドバンテージを得ることができるはずであるが、このポジションを日本の良き家庭教師(?)でもあった欧州に奪われてしまうのは大変残念なことである。

事実、ドイツのエコ政策は、日本が追いつくには相当の努力を要するレベルを独走している。過去においては世界一の省エネ技術と省エネ心を持った日本。今となってはこの国が失ったものはあまりに大きい。やはりここでも日本の政治力のなさが致命傷となっている。

世界一ともいえる水資源や、世界で数本の指に入る広大な国家領域(水域を含む)を持つ日本。そこに眠る膨大な資源をないがしろにし、中国にガス油田開発をほぼ無条件で許してきた政治と行政の責任は果てしなく大きい。そしてこれを許してきた大本の国民には、ついにその代償を支払うときが近づいている感がしてならない。

いずれ始まるであろう、日本の国際的優良企業の海外への流出。さらに物的、知的財産を持つ人々の国外への脱出。それを目の当たりにして初めてこの国は動き出すのだろうか。その時点では「時、既に遅し」、流失に歯止めがかからなくなるかもしれない。バブル期以降続く国際マネーの引き上げを、我々はもっと危機感を持って議論するべきである。