2013年4月14日

外から見える改憲日本の真の姿

■米・JIBs軍産複合体

国家間で武器、戦費を融通し合う軍産複合国連携。メンバー国は直接、間接を問わず参戦。武器製造による経済効果は元より、後の影響力、利権拡大を目指す。

JIBsとも呼ばれ始めている日・英・似の米国を介した連携。世界最強の軍産複合体である。始まりは、戦後のサンフランシスコ講和条約。共産主義を徹底否定し、中露を排した一部戦勝国限定の和平協定である。本来、全てを失うはずの敗戦国日本が、これにより朝鮮戦争を支援、物資供給で大きく稼いだ。戦後日本経済復興の礎となるいわゆる朝鮮特需である。その後も一貫して米国の戦争を支持、支援してきた日本。米国の影響力を活用し、アジアを始め、世界各地で利権獲得を果たしている。これが戦後日本の政治、経済、社会、文化の骨格となっている。

■二分化された世界

過去に「一等国」を目指した日本。国民向けには自国発展。しかし目的は軍事的強国入りを果たす事。昨年末からの自民改憲内閣は、米JIBs軍産複合体の中で、軍事的地位の格上げ、「一等国化」を目指しているかのよう。軍事同盟強化、他国批判のプロパガンダの蔓延等、日本は再度、感受性豊かな若い層の支持を得て、国民の「意図しない」方向性を持ち始めているかに映る。同盟国の差などはあるものの、二度の大戦前の体制変化を踏襲するかに見える。

これに対し、欧州共同体、中国の再台頭という古くて新しい枠組みが活発化している。戦後処理の失敗を教訓に、対「米JIBs」に身構え、欧州BRICSは結束を深めようとしている。韓国は欧中傾斜、台湾は米英日、豪州は模索中も最終的には欧中選択か。いずれにせよ、米JIBsの連携強化が、世界をより深く二分化しようとしている。

■ワクチンとウィルス

北朝鮮は国際社会の前で、一貫して米国との和平協定を呼びかけている。しかし「人道的な観点」との理由から、米国はそれを拒み続け、「休戦状態」に留めたい意向である。日本はただ米国を追随するのみ。もし、日米が「真に」人道的配慮をしているのなら、一日も早く北朝鮮と和平協定を結び、独立国と認めた後にでも「人道的配慮」が行えるはずである。その際は国連、世界を巻き込み、軍事的脅威抜きで大々的に話し合えるはずである。現状の休戦協定に留まれば、その分だけ長く、北朝鮮の人民が世界から取り残される状態を継続させる。

日米はなぜ「和平協定」を拒み続けるのか。ウィルスなくしてワクチンは必要とされない。「永遠の敵国」なくして、軍産複合体はその価値を失うのである。中国を敵国認定しつつも、同国の成長を取り込もうとする日本政府のしたたかな姿勢、その矛盾を、国民はキッチリと問い質すべきではないか。

世界では常識となっているG8への抗議活動はどうか。世界に影響力のある一部の国家が、自らの利潤ばかりを求めて「地球の運命」を話し合っている。このような批判は世界では常識であるが、日本国政府、メディアがこれに触れる事はない。それどころか多くの日本人は、自国がG7G8のメンバーであることを誇りにすら感じている。

■国民不幸

「国民の意図しない方向性」とは、国内からは見えない日本の姿である。太平洋戦争後の日本は何らかの形で米国の全戦争を支持、支援する事実上の参戦大国である。日本の経済発展はこれを覆い隠し、世界はこのような日本の姿勢をこれまで重くは見てこなかった。しかし欧州共同体が前進し、中国が復活へと向かう現在、軍産複合体に加担する過去の開戦国、日本の姿勢に関心が向き始めている。

この体制の中で改憲日本の「一等国化」が容認されれば、米国は中国との協調関係を失う。それは世界和平の均衡を乱す結果を招く。米国がこれをどう扱うかが21世紀前半の世界を大きく左右する。物騒な世の中だから銃所持を促すのか、銃所持が常態化しているから世の中が物騒なのか。

日米の策略、プロパガンダに対し、ロイター誌では次のようなコラムを掲載している。「不当な疑念のせいで、不安定な時期にある北東アジアでは特に、政策立案者が安全保障上の重要な選択肢を見誤る可能性がある。肝心なのは、中国がどこに向かおうとしているのかを歴史から読み解くことだ。」(ロイター記事

歴史観で欧中と対極にある米国はこれを見誤る可能性が高い。軍事産業と親しい関係にある共和党政権下ではこれが色濃く出る可能性がある。また政府、国民、識者間で乖離した歴史観、世界観を持つ日本も、米国依存によってこれを見誤りかねない。特に独自の「表現の自由」を展開する日本では、「世界で何が起こっているか、世界が日本をどう見ているか」が、必ずしも国民に正確に届いていない。政府、メディアが「中国悪玉説」に正当性を与え、米国の傘の下からこれを発し続けている。先進国らしからぬこのような報道の在り方は、まさに国民不幸である。

グローバル時代にあって、人類が同じ失敗を繰り返すはずもないが、日本の現政権がより深く米国の傘の下にもぐり込み、過去の過ちに正当性を与える方向性を持ち始めた現在、世界は固唾を呑んで日本の先行きを見守ることになるかも知れない。

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