2014年8月18日

ロシアより「地域回帰」への熱いアプローチ


― 良好な周辺国関係こそが国家発展の道 国土は引っ越せない ―

この明白なロジックが21世紀の日本社会で浸透していない。周辺国との争いは経済発展を阻むだけでなく、文化的な発展をも阻害する。国家国民には「発展と引き換えの対立」という覚悟もなければ、その認識すらない。

未だ「全周辺国」との信頼関係を築けない日本において、それでいいと言う個人、組織、政治団体まで存在する。増加する観光客と、日本国内における彼らの購買力を見ても明らかな通り、日本は隣国より多大な経済的恩恵を受けている。国家国民がこの事実を消化しきれないでいる。

歴史上、島国だから外へ出た英国とは対照に、島国だから内にこもった日本。その文化、精神がまるで遺伝子レベルにまで入り込んでしまっているかのよう。

■ロシアからの情熱的なアプローチ

現ロシア政権の日本へのアプローチは非常に大きなビジョンをもって進められている。大陸和平のため、まずは地球の裏側から届く大国の影響力を減らしたいと考えている。それには、大陸の「東西海域に陣を張る日英」の協力が欠かせない。

地球の裏からの影響力を行使する「司令塔」の役割を果たす日英二国と、中に置かれたもう一つの司令塔国家イスラエル(いわゆる「JIBs」三国)が、大国に寄り添って得るそれぞれの地域での地位と保護をどう扱うかが、ユーラシア大陸の今後の安定を左右する。この若き大国が投げかける思惑は、長く複雑な歴史を持つ大陸の国々のそれとは必ずしも一致しない。それが地域の安定を奪い続けている。

■狭小な「世界観」、浅い「歴史観」

多くの日本人、日本社会はこのような世界観を持ち合わせていない。日本は米国にはシッポを振ってついて行く反面、中韓を始めとする肝心の隣国からは距離を置く社会を形成している。自らが、どれだけ欧米に近しいかを誇らしく語る国民性。史実を見ても明らかなように、わずか200年前まででは考えられないことだ。

京都が中国長安を再現して都市計画された史実は、もう小学校で学ばなくなった。中国風水の教えに基づいて忠実に都市計画された江戸の街造りをほとんどの日本人は知らない。奈良には、当時の朝鮮半島に多く見られた形式の建築物が今も残されているが、これが公に言われることはない。

第二次大戦前、日本はアジアで最初に近代的軍備を得ながらも、そのアジアを守るのでなく、西欧を真似ることばかりを目指し、逆に彼らと共にアジアを侵略する側に回ってしまった。このような「日本文化」は、戦国時代にも見てとれる。弱者を助けるのではなく逆に見下し、強者に寄り添う文化が。

「過去は忘れろ、長いものには巻かれろ」という観念が今も日本文化の根底にある。社会正義、政治哲学への教育は今も非常に乏しい。これらは現代の権力者の汚職、犯罪に対する「甘い責任追及」の姿勢にも現れている。

■日本社会は動かない、動けない

リンク記事に欠けているものは日本社会への理解。日本政府は数世代にも渡る権力の世襲と、無尽蔵の資産を持つメンバーらによって継承されている。一部のメンバーが外から持ち込んだ「人工的」な民主性ゆえ、政府と市民を一体に考えることはできない。民主国としては異例な歴史と体制にある。

テレビ放送に未だ大きな影響受ける日本社会では、同記事のようなウクライナ問題の経緯や事実を考えることもなければ、耳にすることもない。国民自ら、事実を知ろうと努力することもほとんどない。

アジアで中心的なポジションを得ることよりも、例え二流扱いでも欧米の「仲間」でいられる世界に未だ憧れ続けている。それは、国家が脱亜入欧主義に「転身」して150年の今日も続く。

もちろん現在は憧れだけでなく、欧米市場並びに企業と、大きな実利関係を築くにいたっている。これまでに莫大な利潤を得てきた地位、権力、富を有す日本の支配層が、それに代わる「興味どころ」なしに、これまでの体制を諦めることなどまずあり得ない。命をかけて守ろうとすることさえある。

ここに「変更」を加えたいロシアには、相応の覚悟と時間を用意する必要があるが、それでも結局、そのような思惑は失敗に終わる。残念ながら、日本が欧米世界を離れるだけの魅力が今のロシアにはないからだ。

■壮大な大陸和平構想、押してダメなら「引いてみる」ことも

しかし時間はかかっても、変更は平和裏に行うことのほうがより確実で、当然、後の問題も少ない。それは現在の日本の周辺国関係を見れば容易に理解できる。過去の日本が行った力による「変更」が今も地域を不安定にしている。日本の敗戦によって無効とする主張と、それを失いたくない内外の政経団体の主張とが真っ向から対立している。力による変更は、100年が過ぎる今も世紀を超えて対立が続く。

現政権の下で、「敗戦認知」で利潤が奪われる政経団体の発言力が増す中、平和裏な「地域回帰」を成し遂げるには、内外の支配層が「利潤は周辺国との強固な関係から得られる」と考えられるようになる環境を創造する必要がある。

『大陸続きでもある韓国は、歴史的にも物理的にも、ロシアを含むアジアにとってより早く信頼できるパートナーになるかもしれない。仮に半島の統一(または連邦制等の統合)が叶えば、当初の混乱の後には、東アジアにおける過去のポジションを取り戻し、同国が日本を抜き去る大国への道を切り開くことさえあり得る。』

これによって将来的に、「中韓ロ北蒙」の経済圏が発展的に構築され、そこに大きな興味処を見出すと、日本の支配層はそれまでの抵抗から一転、それにスッと寄り添うしたたかさを見せることになる。もちろんそれ以前に、欧米の政経団体はこの超巨大経済圏を前にして態度を変えてくる。

中ロ大陸和平の願いはこの時を待つべきだ。今は「日本取り込み」を急いでみても、無駄な時間と労力を費やすことになるだけである。現状、できるだけ早く日本を諦めることが、ロシアにとっての賢い選択に見える。

■「地域回帰」なしの未来は存在しない

日本がこの5カ国経済圏にすり寄るとき、かつて東アジアにあった均衡が戻る。日本が力による変更を加える以前、数千年を経て築かれた均衡、そしてかつてあった和平が。

地球の裏から来る影響力に寄り添い、自らの地位、立場が誇示できる体制を維持しようとしても、そんなものが永遠に続くはずもない。「愛国」とは何か、「自己利益」とは何かを分けて考える必要がある。

日本は少しでも地域での優位性を有しているうちに、「東アジア経済圏」の構築とその和平に向け、能動的に動くべきだ。TPP同様、後になればなるほど、彼らのルールに従わなくてはならなくなる。中ロ並びに親中ロ諸国を相手に、日本の影響力を及ばせることのできる残り時間はゼロに近付きつつある。

ここからの150年、「脱亜入欧」で国がもつとは到底思えない。ならば「地域回帰」は早い方がいい。

「対ロ制裁」ゲームの中で自己喪失の日本:http://japanese.ruvr.ru/2014_07_29/275255670/