2012年12月24日

NHKスペシャル 2013世界とどう向き合うべきか - 意見募集


Q1 尖閣諸島や竹島めぐる領土問題に、日本はどのような態度で臨むべきだと思いますか?次の中からお選びください。また、その理由もお書き下さい。
l  日本の領土であることを強く主張すべき 
l  問題を“棚上げ”にし、沈静化を目指す 
l  対話を重ね、解決策を模索する 

はじめに、私は日本で生まれ育った外国人です。以下全項、中立な立場をもって述べさせて頂きます。

最終的に「対話」でしか問題は解決に至らないと考えています。「強い主張」の究極な形が武力衝突。しかしその結果、後世・歴史に問題を残すことが少なくありません。「棚上げ」はいい形ではありませんが、対話ができる環境にないのであれば、武力衝突を避けるため「棚上げ」もやむを得えず。


Q2 日中・日韓関係の対立がこのまま続くと、どんなことが懸念されると思いますか?また一番起きて欲しくないことは何ですか?ご自由にお書き下さい。

仮にこのままの状態が続けば、既に民間レベルで進行している隣国との経済的、文化的、個々の友好関係へのダメージ、ロスは計り知れないものになると考えます。既に一部で言われ始めている隣国との断交などは「国民不幸」に他なりません。

嫌だからと別れる事も、相手を押し退けることも、自ら立ち去ることも出来ないのが隣国関係。隣接した国土は過去も未来もずっとそこにあり、その関係は自らの世代はもとより、子の代、孫の代と永遠に続くものです。

日本人は改めて自らの「島国根性」について問い質してみるべきです。過去には自分達さえ良ければそれでよかった島国と、「共存・共生」を重要視してきたアジア・欧州の大陸の国々とでは、隣国に対する国民意識が根本から異なります。これからのグローバル時代、これは日本の政治・教育の中心に据えて行かなくてはならないものです。

一番起きて欲しくないことは武力衝突に他なりません。しかしそれは日本が憲法9条を変えない限り起こり得ないと考えます。上のことからも言えるように、日本国民が右派勢力を支持しない限り、現在のグローバル社会において起こり得ないことであると考えています。もし、「ある」と考える国民が多くいるならば、それは尚更上のような政治・教育方針が必要であることの証左でもあります。


Q3 アメリカのオバマ大統領は、中国の台頭に警戒感を抱き、日米同盟の強化や日本のTPPへの参加など、日本にも一層の負担を求める方針だと言われています。日米関係について、どうお考えですか? 次の中からお選びください。また、その理由もお書き下さい。
l  日米の関係をもっと強化すべきだ
l  日米関係を維持しつつも、アジアとの連携に力を入れるべきだ
l  できるだけアメリカと距離をおき、アジア重視に転換すべきだ

極端な発想による「距離」は必要ありませんが、「自然」な限り、ある程度の距離を置くべきではないかと考えています。

日米政府が言う中国の脅威、北朝鮮の脅威、果たしてそれらを国民はどこまで本気で受け止めるべきでしょうか。これらが脅威であればあるほど、米国および日本の防衛省はそのプレゼンスを高めます。官僚組織の権益は膨らみ、それらは維持され、その規模が大きく、そして長期化するほど、国民生活を疲弊させていくというのが人類史上、例外のない事実です。このような国家は、国民の愛国心を煽り、不必要な隣国脅威論を蔓延させ、隣国との争いが絶えないのが特徴です。いつの時代もこれらを望むのは国の支配層であり、決して国民ではありません。隣国、周辺国関係が良好であれば、このような不要な国民負担を排除することができます。

隣国の脅威を脅威たるものにせしめないのが政府・メディア等の本来の役割。日本ではそれが逆転、彼らがその脅威を維持し、さらにそれを煽っている現状を憂うばかりです。21世紀の現在、必要なのは外交力と国際社会からの支持であり、軍力などではありません。政治、軍事における米国とのこれまでのような関係は、日本の周辺国との良好な関係再構築を遅らせるばかりであり、この異例とも言える全周辺国との不仲こそが、日本の将来性を奪っている主要因であると考えています。


Q4 ヨーロッパでは、領土問題を乗り越え、EUという政治・経済の一体化が進んでいます。アジアでも同じような枠組みを作ることが可能だと思いますか?次の中からお選びください。また、その理由もお書き下さい。
l  可能である
l  難しい
l  わからない

正確には「可能であるが現状では非常に難しい」

この件でヨーロッパにあってアジアにないもの、それは戦犯擁護を禁ずる法律と、過去の過ちを後世に伝えることを目的とした関係国共通の歴史教育です。日本が行ってきた謝罪・賠償が「無駄」に映る現状は、被害国に対するトラウマケア、心のケアを欧州のように重視してこなかったことにあります。謝罪・賠償は飽くまでも謝意表明に過ぎず、それで元通りにリセットされたと扱うことには無理が生じるでしょう。

日本のメディアや、日本人の友人らから多く耳にすることは、「中国・韓国での反日教育が許せない」という言葉です。一歩離れ、外の目でこれを見ると、幾多の素朴な疑問が浮かび上がります。
1.     「反日教育」とは何なのか。そもそも何故、反日教育自体可能なのか。
2.     何故、日本は21世紀の今も「全周辺国」と不仲なのか。先進国としてその異例な隣国関係は、本当に周辺国側からの不当な突き付けに終始するのか。
3.     またそう考えていればそれでいいのか。なぜそれらを客観的に見て議論することはしないのか。

同じく戦争加害国のドイツは、戦後、周辺国との関係改善に尽力し、今もなおその取り組みは続けられています。その結果、今では、ドイツは欧州の「リーダー的存在」とまで言われています。ドイツにできてなぜ日本にできないのか。米国関与、米国保護による戦後処理に日本は甘えきっていないでしょうか。このような姿勢から脱却することなしに、本当の戦後、すなわち周辺国と共に未来を歩む環境が迎えられるとは非常に考え難い事です。


Q5 中国の台頭により世界のパワーバランスが変わりつつある中、また国際社会における日本の存在感が徐々に薄れつつあると言われる中、今後、日本はどんな姿勢で世界と向き合っていくべきだと思いますか?ご自由にお書き下さい。

世界は第二次大戦から何を学んだのでしょうか。自らの存在感を高め、自らへパワーバランスを傾ける政策を取ったことが、不要なイデオロギーを生み、国民に必要以上の愛国心を抱かせ、自国神格化等を目指した主要因であると考えています。しかし当時、そのような政策を一番強く推し進めた日本、ドイツは国を解体され、国民はそのアイデンティティを奪われるに至りました。そして皮肉なことに、そこから一歩距離を置く立場を取っていた米国が、最終的には多くを得るという結果に至っています。そのような政策を重視し成功する時代は、既に前世紀以前、終焉を迎えていたと言うことができます。

質問のパワーバランスの変化は、見方によってはそもそも過去の日本が、世界の強い批判を押し切って軍拡を強力に推し進めたことに、現在に至る大きな変化が始まったと言えます。そして日米がこの戦後パワーバランスを自国へ傾ける政策を重視し、それを根付かせてきたことで、現在の中国の復活、日米弱体化を前に「唐突感」を生じさせています。

日本ではこの唐突感を「軍事的」にどう抑えるかという議論が目立ちます。本来であれば「過去に日本が中国を追い抜き、その中国が日本に追いつき抜こうとしている」といった認識で済ませることも可能であったはずです。

日中の経済交流がこれだけ進んでいる現状を世界から見れば、なぜ日本は「中国脅威論」を掲げてまで、敵視する相手との相互依存を続けるか不可思議に映ります。本当に脅威があるとすれば、それは本来外交力で排除すべきものであり、逆に軍事プレゼンスを高める姿勢を見せれば、「結局、日本は変われなかった」ということを世界に示すことになるでしょう。

「技術革新」が世界を大きく変える今世紀、国家が「存在感、パワーバランス」を考えた政策を重視することが、果たしてどれだけ国民の幸福を得ることに繋がるでしょうか。未だ日本がそれらを重要視することに、国家発展の行詰りを感じるところです。今の日本に必要なものは、国家国民の正しい世界観と歴史観、そして良好な隣国関係です。これらなしにこれらかのグローバル時代を迎えれば、そこには理解を超えた困難が横たわり、ゆく道を阻み続けることでしょう。現在起こっていることはその序章に過ぎません。これを「序章」とするのも、「警鐘」と捉えるのも、全ては日本国民の判断にかかっています。