2012年8月23日

消費税25%でも国民理解は得られる 4/4 ― ギブ&「ゲット」

■課税対象の簡素化と税還付、そして社会保障番号

[上画像は政府サイトより]
高い消費税を課すことは、低所得者をより苦しめることになるとの重要な課題もある。そこで欧米では、以前から項目別に異なる税率を課してきた。よく言われるのが、ドイツでは、ハンバーガーを店内で食べるのとテイクアウトでは税率が異なる。外出中の消費者はドライブスルーでハンバーガーを買い、そのまま駐車場に回って車内で食べることになる。

このような窮屈さを強いられる事実は同税制の大きな欠陥であると言える。全ての消費に一律に課税すれば、当然このような矛盾は解消され、課税体系をできるだけ簡素化することで行政の関与も減らすこともできる。複雑であればあるほど行政は関与を深め、結果、国民の監視がおろそかになる。

低所得者へのサポートは支払済み消費税の還付によって行うが、これには全国内人に、現在マイナンバー制度として議論されている社会保障番号が必要となる。既に先行する韓国などでは、各商店に端末が設置され、消費者は商品購入の際に社会保障番号(住民登録番号)情報のある専用カードを使用し、還付に必要な情報のやり取りをオートメーション化している。またこれは脱税防止に欠かせない制度でもある。日本が参考にできる部分も少なくない。

■国外消費分の還付

「25%」という無視できない税率でも、外国人観光客を減らさず、彼らのみやげ消費を維持するためには、国外消費を目的とした買物への免税または減税措置が必要である。これまでのように輸出業者だけに留まらず、商店が個人に対して販売する際にも、国外使用の商品に対し免税措置が必要である。国内人であれば社会保障カードを利用し、一時滞在の訪問客であれば、国内人の社会保障カードに代わるIDカードを入国時に発行する。商品購入の際にそれを端末に通すことで、還付に必要なデータをやり取りする。空港に窓口を設け、出国の際に買物情報と商品を照合し税還付する。また別送品に関しては、認定配送業者が別送を保証する証明書を発行し対応する。これらの作業には、マイクロチップや二次元バーコードなどが便利である。

■ハードランディングは機能するか

ハードランディングとなる国家破綻、外部救済者介入によるドラスティックな構造改革を個人的には望むところである。根底からの大改革なしには、日本はその持てる能力を発揮できず、いずれまた権益に押し潰されてしまう道を辿ると考えるからである。しかし救済者による介入も完全ではない。現在の韓国を見てもそうであるように、財閥の解体など、一度はIMF介入による改革も実行されたものの、やはり中途半端な形での介入に留まっていたことが今見て取れる。日本のGHQによる介入もしかりである。新旧利権が形を変えプレーヤーを変え、結局は再構築されるのである。現在の主義、体制の下でできることは限られている証しでもある。

■ギブ・アンド・「ゲット」、とにかくやってみる

既得権は権力である。その権力を奪うことは容易ではない。彼らもそれを守るために人生をかけている。利権構造改革に挑むことは重要であるが、それには無限の努力と、気の遠くなる程の時間を必要とする。しかし現在の国の財務状況はそれを許す程の時間を持っていない。いつの日か日本国債が売られ、急激な金利上昇に見舞われればまさに一網打尽となる。これは突然やってくる。これを一時回避するための消費税率引上げ、避けては通れないところまで来ている。ならば国民は交換条件を国に突き付けることを怠ってはならない。

消費税25%と低所得者への還付。所得税とインフラ使用コストの見直し。そして一人10万、夫婦で20万円の生涯保障。医療、教育費の無料化など。皆が共に具体的な改革案を支持し、積極的に訴えかければ、国はそれらを無視できないことを知るはずである。それには国が増税をと願っている今がより効果的である。