2012年8月22日

消費税25%でも国民理解は得られる 3/4 ― 「安心」は消費の原動力


■消費税25%

生涯保障と引き換えであっても消費税25%は大きい。現在、揮発油税込で1万円のガソリン代が10,500円のところ、25%の税率では12,500円にもなってしまう。現在、酒税込5千円のワインが5,250円、消費税アップで6,250円にまで跳ね上がってしまう。しかしこれらは高収入者に対する話である。国内人の多くは支払済み消費税の還付を受けることができる。私の提案では、現在5,250円となるこのワインを、年収200万円未満の納税者は、還付により実質無税の5,000円で購入することができ、同300万円未満なら現在と同じ5,250円、同400万円未満で6,125円、500万円以上は還付なしの6,250円となる。基本的に、低収入者はいくら消費しても無税または減税の対象となるが、還付基準は収入だけに留まらず、保有資産に応じた還付を考慮すべきである。もちろん、競馬やパチンコ、宝くじ等のギャンブル消費へは、その所得に限らず税還付などあるべきではない。

一昨年(2010年)の年齢別人口動態を見ると、65歳以上の人口が29,367,152人となっている。この数を参考に全員への年金支給を計算すると、最高、年間約35兆円が必要となる。現在の給付年49兆円より安くあがる。35兆円に足る消費税率は1417%と試算される。現行の5%と合わせると20%前後の消費税率となる。導入後に受給者が増加すれば、その時点で支給額を減らすか、再び税率を上げることになる。これらを数年毎に国民的議論を交えることを法制化する。

私はこの年金を生涯保障と位置付けている。例えば年に数千万円も稼ぐ老人に対し、国が金銭的な生涯保障を与える必要はないであろう。このような富裕層は、その利益を稼ぎ出すまでに国が提供するサービス、道路等のインフラを直接的、間接的に人一倍使用しているのである。国民負担となる生涯保障は遠慮して頂き、少しでも予算(消費税率)を減らすことに貢献して頂きたい。

■高い消費税率が景気を冷やすという議論

一般的に、高い消費税率は国内消費を減少させ、景気に悪影響を及ぼすとされる。「普通」に考えればこれは事実かもしれない。しかし普通に考える必要はない。これまでにはなかった低収入者への還付もあれば、全高齢者への生涯保障もあるのである。

現在、国内人の大半を占める低収入層は、月に数千円でも節約しようと日々神経を尖らせている。無理もない、一向に増えない収入と、老後保障に不安を抱いているのだから。しかし現在の価値で10万円という年金支給が、老後に保証されるとあらば、生活に必要な買物をするのに今ほど神経を使わなくてもよいはずである。消費行動はより安定的なものとなり、人々は安心、安寧な生活を営むことができるようになる。みながこのような生活を送れるようになれば、そのカテゴリーでの消費に厚みが増し、供給側はバリュエーションを増やすことができる。生活必需品またはそれに準ずる品物が充実することは、日々の小さな豊かさを得ることにつながる。ブランド品で着飾り、高級車を乗り回す生活など、多くの人が望んでいるわけではない。それよりも住まいの住環境、日々の生活をより落ち着いた形で充実させたいのである。

日本より遥かに高い税率も、高福祉を誇る北欧では、消費が大きく落ち込んでいるわけではない。それどこか、みな高福祉であることに安心し、充実した生活を送っている。消費税わずか5%の日本の方が、余程、緊迫した消費生活を強いられている。高い消費税率だけを持ち出し、経済を冷やすだけという議論は、無責任でやる気のない行政と、一部の強欲な企業経営者らの言葉である。実際には基礎年金の引上げで、年金への企業負担は大幅に減少する。実質、企業への補助金とさえなりうる。

■「人口減少高齢化社会」が進むべき道

この消費税率引上げによって税収が増加し、年金等を支給した後に残るものについては、いくつかの欧州国同様、医療・教育に還元したい。大卒までの無料化や、健康保険料の無料化、できれば医療費全体の無料化を実現したい。

人口減少と高齢化により、これまでの構造のままでは国の収入は減る一方である。これを補うために国民的投資ファンドを設立し、日本国内はもとより、世界に向けて投資を行う。民間の投資信託のように、投資および資産状況をオンラインで日々公開する。高齢化社会においては、国民の体力に頼った労働を期待するだけでは、国民生活に必要な資金は稼ぎきれない。先進国には、グローバル社会における知恵の蓄積があるはずである。投資先の企業、不動産等に頑張ってもらい、そこから配当を得て国民を潤すことを考えるべきである。日本が資源国でない*とうたうのなら尚更である。