2013年9月27日

安倍政権、「女性重視」で税収増プロモーション

■プロモーション利用

国連総会で女性重視の姿勢を示した安倍氏。何か唐突感が残る。昨年の政権交代以降、氏は自らの改憲イデオロギー傍ら「経済重視」で今日まできている。しかし国民が支持する経済面においても、実際の回復と呼ぶには程遠いながら、世界の表舞台では女性の人権について訴え始めている。その真意は。

橋下氏の慰安婦発言で広がった日本の負のイメージを振り払いたいのは当然である。しかし全体主義を骨格とする自民改憲案を見ても理解できる通り、本質は「主婦も働き税を収めよ、国家に努めよ」ではないか。海外からは「ただの掛け声、その場しのぎ」と、日本社会における女性の権利に疑念の声が上がる(下記URL)。

■レーガノミクス、先富論、アベノミクス

アベノミクスは30年前の二つの国の政策をモデルしている。一つはその名の通り米国レーガノミクス、もう一つは中国鄧小平の先富論。これらの政策の軸となっているのがトリクルダウン理論。17世紀から18世紀にかけ、オランダ出身のマンデビル提唱の理論がその原点とされる。日本は江戸真っ盛りの時代。

トリクルダウンは英語の「流れ出る・垂れ落ちる」。富裕層からこぼれ落ちる金が、市場経済に浸透する様子を仮想している。レーガノミクスはこの「仮説」を忠実に政策実行したとされる。先富論も「富める者から先に富み弱者を救済せよ」と共産国的な主張も含むが、基本は「富裕層からこぼれ落ちる富」を狙っている。

今日の日本のデフレに対し、当時の米国ではスタグフレーションが深刻さを増していた。諸説多数も、一般的にはレーガノミクス以前から、FRBが取り始めた政策が当時の米国経済を救ったとされている。もう一つのトリクルダウン思想からなるサッチャリズム同様、レーガノミクスには今も批判的な意見が多い。

■アベノミクス、大企業と富裕層を支援

米国レーガノミクスでは全納税者を対象に幅広く所得減税が行われた。それまで約70%徴収されていた富裕層の所得税を、最終的には30%程度にまで落とすも、同時に低所得層への減税も実施している。

日本のアベノミクスでは、大企業や富裕層への支援、減税に留まる。他国のように、国民番号等で不正蓄財を監視する事もない。企業や富裕層の元気を取り戻すことで、そこから「こぼれ落ちる富」が日本経済を潤すのだという。

そしてここでの税収減を補うのが「課税対象の拡大」。決して「軽視」されているわけではない女性の権利を敢えて取り上げ、主婦への労働参加を促す。「大黒柱が一家を養う」型の世帯が持つ大きな税扶養控除を削減し、そこに課税し、さらに国保・年金保険料を徴収する対象を増やしたいと言うのが、安倍政権が掲げる「女性重視」の本質ではないか。