2012年12月5日

強面の物売り、変わってしまいそうな日本 2/2

変わり果てた日本の現代文化

外貨を稼ぐため、外国との「親交」を重視する国がある。一方で、個々の生活から街づくりに至るまでを、自国の文化と伝統で磨き上げ、それをウリに「外から内へ」金を呼び込む国がある。そしてそのいいとこ取りを目指す器用な国もある。

前者は国の伝統と文化の希薄化につながり、後者はグローバル化との一定の距離を意味する。前者はTPPに留まらず、全世界とのFTAを目指し、後者はそれらを拒む。しかし明治以降、日本はその中間を行ったり来たりしてきた。この「どっちつかず」が国の骨格を曖昧にし、日本のアイデンティティを奪った。変わって「金儲け」主義が台頭、重要な価値観となった。この拝金主義は「金さえ稼げればそれでいい」のである。本来、企業広告すら許されるべきでない人々が集まる駅前に、パチンコカジノや性風俗店が蔓延する社会を形成し、日本はオレオレ詐欺に代表されるよう、新手詐欺開発の場へとなり下がっている。残念なことに、これは現代日本文化、金儲け主義に翻弄される憂慮すべき側面である。

ガラパゴス化で内需喚起

日本国のDNAは本来「国内完結型」なのだと思う。多くの国民は、質素でも質の高いコンパクトな生活を望んでいるのではないか。外との交流を深めるために自らを変えるよりも、日本のいい意味でのオタク・ものづくり精神を大切にし、スイスのような職人社会がより多くの国民に受け入れられる。私はこれで、これからの日本国内の需要を十分に喚起できる体制が築けるのではないかと思う。

超先進的な携帯電話機などはそのいい例であった。しかし国の政策は新興時代のまま、大企業牽引型経済重視である。グローバル化を果たした日本の大企業らは、世界市場での業績維持が存続の基盤であり、長年、政策はここにばかり焦点を当ててきた。しかしこの視点を変えることで規制緩和を促し、大企業支配の市場を中小企業に完全解放すれば、技術とやる気のある13千万の職人市場が一気に活気付く。

また日本のガラパゴス製品を好む外国人も少なくない。これらは輸出ではなく、国内でしか手に入らない「日本限定版」となれば、世界中のオタクが日本に殺到、観光を含めてたっぷりと内需を満たしてくれるに違いない。輸出で稼ぐのでなく、日本に来て頂いてそれらを楽しんでもらう。そんな国造りが日本には望ましいと思う。

■郷に入れば郷に「従ってもらう」

それには、当然のことながら感情面、精神面で他国排除をすることなく、しかし「郷に入れば郷に従ってもらう」体制が必要となる。当然「お上が民を統治」する型の規制は排除し、代わって日本の伝統、人々の伝統を守るための規制を強化する。欧州では自国文化を守る法規制が非常に多く存在する。

欧米人50代以降の世代には、今も日本製品に対する過去のイメージ、「粗悪なコピー商品」といった印象が付きまとい、未だ欧州・米国にこだわる人が少なくないが(日本人の富裕層ですら未だにそうであるように)、現代の若い世代の欧米人、さらに新興国では日本製品に対する抵抗感はない。過去の時点では、日本製品をウリにした世界からの客引きは難しかったかもしれない。でも今なら日本国内限定版をウリに、外国らの「実需のマネー」を呼び込むことができる。フランスやイタリアなどは、自国の魅力を前面に押し出し、外から客を招き入れる国家の成功例である。

「ガラパゴス化」が悪いのではなく、中途半端なガラパゴス化が良くない。一掃のこと明治以前の本当のガラパゴス時代に戻ればいいのである。また江戸時代までの街並みも復活できればこの上ない。もちろんそれは民主体制が主体であり、鎖国や身分制度に戻らないことが前提である。さらに「経済大国」の肩書など隣国らにくれてやればいい。これは日本の伝統的なプライドに何の価値もない。日本には日本にしかない伝統と文化、それで繁栄していけるだけの人口と国土、そして何よりも今はそのファンもいる。

99%」でいい、でも「1%」に国を支配させるな

戦後の政治家、官僚、メディア、業界トップ企業等、戦後の日本を牽引してきたメンバーが、本当の日本の心を代表するメンバーだと言えるだろうか。外に出て自らを売り込む外貨狙いのビジネスモデル、それを国民に押しつける強力な拝金主義者ではないだろうか。昨今、国家の経済運営がうまく行かないからと他国批判を繰り返し、それを国民に刷り込もうとする勢力でもある。この「行け行けドンドン主義」は日本の文化・伝統の品格を下げ、日本の心を奪っている国民はこのようなグループに振り回されることなく、日本本来の姿とその心を取り戻して頂きたいものである。

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