2012年12月4日

強面の物売り、変わってしまいそうな日本 1/2

政党の乱立、協調なき日本

乱立する政党、そこには「協調心、和の精神」のかけらもない。自己主張と他党否定、騙し合いの世界。今の日本社会において「協調」は飽くまでも「目標」であり、残念ながら「実態」を表す言葉ではない。期待を寄せていた維新の会も、石原氏と組んだことにより一気に右寄り、隣国との対立路線へと舵を切った。

日本のおしとやかさはどこへ

戦後の日本は非常に友好的な国家であった。過去の行為を真摯に反省し、過去との決別を果たそうとする前向きな国家であり、バラ色の未来が開けているかに思えた。しかしある時点で欧州とは逆の方向に舵を切った。周辺国と共に戦犯擁護、過去への回帰を法で禁じたドイツとは正反対に、自国民への過去の反省教育を行うことなく、それを封印する教育方針を取った。さらには過去を正当化、そこへ戻ろうとする識者や政治家まで現れ、全周辺国との対立姿勢を強めている。

戦後、中国との国交が再会された際、領土問題についてトップ同士が会談、衝突回避の道を模索してきた。しかし後に、米国に保護された日本の実効支配、今年行われた国有化など、当時のトップ会談とは程遠い路線、対立・敵対方向へと進んでいる。私の中立な立場から見ても、やはり戦後のトップ会談の同意は意義深いものがある。敢えて米国で発した「石原宣言」のように、それを国際社会の面前で一方的に破棄することなく、より先進国らしい「文明的なやり取り」があってもよかったのではないかと思う。

強面(こわおもて)の物売り

今の日本は内外が認める「加工貿易立国」。資源・材料・パーツを輸入、加工し、付加価値を加えて輸出。そこから得た富が国内に還流し、国を繁栄させた。生産力、技術力も確かに重要であるが、通商国家としての日本に欠かすことのできないものは「良好」な対国家間関係である。喧嘩をしながら相手に物を売ることなどできるはずもなく、またそれを見ている第三国も次第に距離を置き始めるようになる。

最終的に、隣国すべてと対立する通商国家が成立するだろうか。領海を接する全ての国々と国民感情を揺るがすほどの対立を創り出し、政治的にも地理的にも、それらを飛び越えて通商ビジネスは成立するのだろうか。そのはずもなく、この状態を続けることは結果的に日本経済の弱体化を意味する。

戦後、日米関係がもたらした奇跡の大発展。その発展が周囲に波及し、東アジア経済圏が世界を牽引するかに思われた今世紀初頭。しかし強硬な右派政治の推進と共に、今、同地域の中心地だけがポッカリ抜けと落ちようとしている。