2016年1月24日

次世代準備通貨、金融秩序を巡る駆け引き― 「株価依存」の経済が失うもの ②


■「開かれたG7」を待つ中国

米国経済、そして国家そのものの最大の支えは、準備通貨の特権、「無限の借金」に他ならない。一たび、世界がこれをやめようとなれば全てが逆回転する。

中国が号令をかけるわけではないが、最大保有国がその保有量を減らすことで世界が呼応し、米国債売りが加速する可能性も否めない。

日米財政の根幹となる米国債の価値が下がり続ければ、日本においては外貨準備が急速に目減りし、国力そのものが根底から揺らぐ。
 

次世代準備通貨、金融秩序を巡る駆け引き― 「株価依存」の経済が失うもの ①


■株価依存のG7経済は危険な賭けをしている

約一年前のEUの量的緩和で、G7は名実ともに「株価中心」の経済政策となった。

各国は、緩和マネーが実経済の「必要なところへ向かう」との大義とは別に、数十パーセント単位の通貨下落を期待し、株価を始めとする金融市場を下支えるすることで、必ずしも実態を反映するわけではないマネーゲームに経済の牽引役を与えてしまった。

好調な実態経済、またはその将来性を見越しての株価上昇ではなく、株価そのものが上がることによって経済が良くなると言う「仮説」に基づいている。
 

「世界10大リスク 2016」 by イアン・ブレマー ユーラシア・グループ ②


6.テクノロジストの台頭

強い影響力を有す各テクノロジー界出身のグローバルな人材が、前例のない主張をもって政治の領域へと入る。

この新たに登場した野心的なメンバーは多種多様であり、そのキャリアはシリコンバレーからハッカー集団、テクノロジー好きの引退者にまで広がる。

政治的な台頭を見せるこれらのテクノロジストは、政府、市民からの抵抗を生み、それが政策や市場にボラティリティを呼び込むことになる。

 

「世界10大リスク 2016」 by イアン・ブレマー ユーラシア・グループ ①


1.空洞化する同盟関係(同盟の空洞化)

大西洋をまたぐ同盟は、70年近く世界で最も重要な関係にあった。

しかし、過去のどの時点と比較しても、現在の同盟関係は弱体化し現実性を失っている。欧州にとってこの同盟は最優先事項でなくなり、既に決定的な役割を持たなくなっている。

ロシアのウクライナへの介入と、シリアでの衝突が、米欧同盟の亀裂を表面化させることになる。米欧はそれぞれが別の道を歩むことになり、「世界の消防士」はその役目を終わらせる。特に中東問題では利害が一致しないこともあり、今年、同地域での紛争に解決は見られない。