2010年12月8日

投資家保護 ― 改革されるべきは上場企業経営陣 1

「株式会社」の最大使命は株主への利益還元。ゆえにこれへの達成の度合いが、投資家にとっての企業価値を計る尺度となる。

「利益は社のものである」だとか、「経営者のものである」などと考えることがあれば、それは立派な背任行為。つまり犯罪である。しかしながら日本の上場企業経営陣にはその認識に欠けるメンバーが多いように見えてしまう。日本が「金融発展途上国」の汚名を奪回するには、「上場企業経営者の意識改革」が最優先事項となる。

これまで日本株が非常に低位にあった理由、それは日本国の将来が危ぶまれているからだけであろうか。日本企業はアジアという大変有望な市場の中であり、同地域内で一早く工業化が進んだ国として、本来、非常に有利な立場と恵まれた環境にある。

しかも世界中の金融機関が、アジア市場の成長に最大の期待を寄せている時代でもある。この中にある日本が外の目に魅力的に映らないはずがない。政府が実力不足であったとしても、日本企業の評価がこれほどまで低位にあることには、経済的合理性がない。ましてや日本政府はきのう今日、その実力を疑われ始めたわけでもない。

日本株低迷の真の理由、それは日本企業固有の問題でもある、投資家を軽視する経営陣の姿勢と、それらを戒める法整備の遅れにあるのではないだろうか。

親子上場による利益相反、無秩序な増資。法整備の遅れをいいことに、日本の上場企業は投資家保護に消極的である。先進国の基準で見れば犯罪を疑われかねないレベルにある。またこうしたことはヘッジファンド等らの「合法的」な市場アビュースをも可能にしてしまう。

世界中どこの誰であれ、投資先経営陣の株主への扱いを第一に問うものである。現在のように経済情勢が不安になれば、それはより一層の厳格化を伴う。しかし日本の投資家は必ずしもそれを重視していないように見える。