まだ記憶に新しい2009年の年越し。わずか数ヶ月前の金融市場の混乱を理由に、住み込みの期間工らは極短期間の予告だけで住居を追われ、凍える冬空に放り出された。トヨタやキャノンなど、日本を代表する企業らが一斉に契約を打ち切ったのである。
「トヨタ銀行」とも揶揄されるほど、莫大な現金資産を留保し続ける同社。その極々一部を放出してでも社を支えた労働者を保護しようとはしなかった。
リーマンショックに金融危機、その直後のことである。株主に丁寧な説明することできっと「人助け」に対する寛大な理解を得られたに違いない。このとき同社は、同期の株主に対する利益還元をも減らしている。
この年の会期末(2009年3月期)、トヨタ自動車は実に現預金2.4兆円、有価証券5千億、流動資産全体で11.3兆円を計上している。これは前期から現預金が1兆円近く増加し、それを社内に留保してのことである。
その後も同社を筆頭に経済界は政治に圧力をかけ、業界への補助金や為替操作など、巨額の国費支出を勝ち取っている。「利益は社のものだが、労働者保護は国(国民)の責任」という姿勢を示す形となった。
意図的に操作されたデータや事実隠蔽。戦前の軍政府、財閥との関係、それによって犠牲となる国民生活。形こそ異なるものの、残念ながら先進国基準においては民主的に映らないのが日本市場である。
政界、経済界、メディア界に既得権を有するメンバーらに牛耳られ、投資家保護は二の次、三の次となっている。同じく投資家が保護されていないのなら、成長著しい新興国に投資する方がより「安全」という印象を与えてしまうところでもある。
【トヨタ自動車決算資料より】
2008年3月期
現金資産1.6兆円、有価証券5千4百億、全流動資産合計12兆円
2009年3月期
現金資産2.4兆円、有価証券5千億、全流動資産合計11.3兆円
2010年3月期
現金資産1.8兆円、有価証券1.8兆円、全流動資産合計13兆円
― 自己の他ブログサイトより転記 ―
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