2011年2月27日

悪政だけでは語れない― 低迷する日本市場 2

何かと批判の多い日本の親子上場。親会社の利益となるものを子会社へ付け替えたり、その逆を行ったりする。全親子会社の役員名簿に「経営者」が名を連ねる企業も多い。利益相反が無いことを証明するための法整備もされておらず、東証が策定しているルールも形骸化している

これを家庭に例えるなら、一家の大黒柱が(夫でも妻でも構いませんが)、外に別の相手を囲って第二、第三の家庭を持つようなもの。収入の基礎は第一の家庭で築き、稼いだお金の一部をせっせともう一方の家庭に持っていく。稼いだ金の所在が曖昧になる

なぜその仕事と収益を、親会社に投資している既存株主が享受することができないのか。それへの経済学的に立証し、株主に説明する必要がある。親会社で行える仕事と、そこから得られるはずの収益を、一部または大部分が第三者からなる別組織に分け与える行為が、日本の親子上場である。場合によっては「背任」ともなりかねない行為である。

日本の法整備の遅れ、政治行政の不信は今に始まったわけではない。言わば「何でもあり」が日本市場。法整備の遅れを逆手に取った企業経営陣らの「やりたい放題」の姿勢が、善良な株主(個人、機関を問わず)の投資マインドに冷水を浴びせている。さらに現在の日本市場が「市場カジノ」と化している状況も、投資マインドを冷やす大きな要因である

リタイアメントマネーが「安定」を求めている時代。本来、株主とは、選んだ投資先に対し一定の「loyalty」をもっているもの。これを真剣に受け止めることのできる企業経営者が増すことで、目先の株価変動に動じない質の高い投資マネーを市場に呼び戻したいものである。

― 自己の他ブログサイトより転記 ―

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