2009年5月29日

日本人のコミュニケーション能力 2

「語学」とは、本来学校外であっても十分勉強できるものである。他の先進諸国では、多くの国民が語学学校に通えるだけの収入と時間的な余裕がある。しかし多くの就労人口の年所得が200万円を切る日本においては、月に数万円も支払って語学学校に通える余裕はない。

直近においては、家計を支えるために学校を辞めなくてはならない高校生も急増している状況である。また、社会人が通勤時間やサービス残業に、時間と体力を奪われていることも大きな課題だ。

次に「メンタル・バリア」なるものがある。実はこれが最大の課題であるかもしれない。

言葉の通じない外国人に対する日本人の遠慮、敬遠心か。マナーを重んじ過ぎるためか。相手を思いやる気持ちが強すぎるためか。はたまた自己の振る舞いに自信が持てないためか。これらが総合的に日本社会で色濃い、「他者を受け入れない体質」を築いてしまっている。

家庭、会社、地域など、一般的に自己の知れた範囲においては必要に応じて他者との交流があるものの、この枠を超えた部分に目を向けると、日本人は他者との交流が極端に少ない。実際、来日した中国残留孤児や脱北者でさえ、日本の閉鎖的な社会と、その孤独さに耐えられないでいると言う。

日本人が持つ人生観と、日本人を取り巻く現代社会との間にあるギャップが拡大し、“戸惑い”が生じている。開国後の急速な社会変化に、日本人が持つ「世界観」が追いついていない。強過ぎる愛国心も、外国人とのコミュニケーションの障害になっているかもしれない。

もともとの世界観の差はあるにせよ、現代経済においては後発となる中国、韓国のほうが、より早い速度でそれぞれの新しい社会に適応し、国民の目はグローバルな未来世界を捕え始めている。

とは言っても、“日本人らしさ”、もちろんいいところもたくさんある。対人関係にも見られる、こうした日本人の繊細さは、職人文化、ひいては一部オタク文化などと重なり、高度で緻密な日本製品を世に生み出すに至っており、これはこれで他国が真似できない日本人ならではの強みである。