2010年9月12日

国民の機会損失と業界のエゴ 1

JALは日本の歪んだ政治・経済・社会の縮図。同社の行く末を見れば日本の未来が占えるかもしれない。

航空業界においても日本は規制緩和が遅れた。日航の破綻は「複合悪」の象徴である。その代表的なものが「政・官・既得権者(企業等)」による業界支配。新規参入を拒む「仲良しクラブ型規制」が長期間維持されるあまり、平行する多くの経済活動が阻害されてきた。

本来、産業とは、成長とともにその裾野を広げていくものであるが、日本の場合、新興国並みの排他的規制により、産業そのものが「縦割り社会」を形成している。

キャピタリズムが機能していない日本の新興時代には、当然のことながら自国産業を外から守る何らかの規制は必要であった、ある程度成長を果たし後にもこの体質から抜け出せないでいると、その国家は衰退の道を辿ることになる。体質を変えられないのなら、逆に国家規模をリストラ、縮小し、社会主義的な福祉国家を目指すしかなくなる。

規制(法律)が必要なところに法整備が遅れているのが日本社会の特徴である。特に航空業界、メディア、鉄道業界等では、市場寡占に関する法整備が遅れている。業界が規制緩和を阻止し、今もなお政治がそれを受け入れている日本のあり方は、民主国家を滅ぼす「帝国主義回帰」への予兆であるとさえ私は考えてしまう。