2010年11月7日

中国復興とドル安の定着 3

米国の低成長が長期化すれば、中国の工場も稼働しなくなると考えられがちであるが、中国は今や名実ともに、人口数十億を抱える「グレーターチャイナ」のリーダー的存在である。米国に物を売らなくとも工場を稼働していける市場を既に掌握するところまで来ている。

19世紀から20世紀初頭にかけて、米国が中国から奪った「世界の市場」としての立場を現在の中国はそれを奪還しつつある。中国企業が米国に物を売れないのであれば、米国企業が中国で稼いでいる分を国内生産させる政策を取ればいい。一党独裁ならではの強みがここにある。日本のようなバブルとその崩壊を懸念する声が根強いが、世界一資本統制が取れている中国ではそのようなことは起こらないであろう。

経済依存、国防依存、ひいては政策依存。日本が米国の第51の州でないことが不思議なくらいである。以前にも同様のことを書いているが、このままジリ貧にデフォルトの道を進むより、いっそうのこと「属国主義」ではなく、実際に一部になってしまったほうが経済的に「安全」なのではないかとさえ考えてしまう(但し米国の一部になってしまったらテロに狙われやすくなる。また身勝手な戦争にも巻き込まれたくない)。

将来的にドル高の定着には、次の3つのことが必要である。
1.     米国が力強い復活を成し遂げ、「再び世界経済をリードする」と世界が考えること。
2.     米ドルが「世界基軸通貨として、将来的にも確固たる地位にある」と世界が認識すること。
3.     米国政府が「強いドル政策」を言動を伴って事実上復活させること。

2については1が前提条件となり、3については12両方が前提となる。これらを満たすことはそう直ぐにはなさそうであり、場合によっては永遠にないかもしれない。それは将来的なドル高の定着がないことを意味する。米国の「強いドル政策」にはもう戻らないのである。

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