2008年12月6日

構造的な歪みの是正 そして成熟経済へ..

数日前のニュースで、国土交通行政推進のための「国土交通アドバイザリー会合」が開かれたとあった。そのメンバーは自動車連盟、全国トラック協会、宮崎県知事など。このメンバーを見ただけで、会合の意図が見て取れる。

「国交省行政推進」といった健全なものではなく、「人口、交通量減少という逆風が吹き荒れる中、更なる道路建設推進のためには、どう国民に訴えればいいか」。言葉悪いが「国民をどう言いくるめるか」といった会合に映る。純粋に国交省行政推進のための会合であれば、同省の管轄である他の分野、例えば建築、観光、空港、海事など、他の分野からの専門家も加え、しかも分野別に無数にアドバイザリー会合を設置しなくてはならないはずである。

国民の多くが、戦後最悪かつ超長期景気低迷に苦しむ中、昨年まで過去最高益を更新し続けた企業がある。円安メリットを享受できる大手企業群だ。これこそが、二極分化社会が構造的に支えられている大本であると私は考えている。このような円安メリット企業を優遇する政策は、本来バブル期突入と同時に、方向転換しなくてはならなかった「発展途上国型」の政策である。戦後の生めや増やせやタイプの経済政策は、第3次産業も成熟期に入っている今の日本には、完全に時代錯誤である。

外国へ売る製品を作り続けることが国家にとって真に有益であると考えるのであれば、そこは「もの造り日本」、江戸時代のように、学問より職人を育てることを優先してもいい。しかし円安を好む経済政策は、言わば自国通貨「売り」を推奨し、円安メリット企業を育成することでもある。結果、日本経済の構造的な歪みを温存することになる。

戦後数十年で、日本は世界の先進経済圏から転落してしまった。その後20年が経過する今も、復活の目途すら立っていない。2流が3流にとなろうとしているのである。全先進諸国が戦略的に経済政策を推進する中、高度成長期をとうの昔に終えながらも、未だ大きな構造的な歪みと脆弱性を持つ日本。今世紀、このような国家が生き残ることができるであろうか。