2011年8月30日

株券乱発、紙幣乱発― 米国の侮れない危機管理行動 2/4

株券に「業績(一株利益)」という裏付けが必要であるのと同様に、通貨も本来、「金」や「銀」などの裏付けが必要です。これら裏付けなく、どちらも許容範囲を超えて発券されれば、あるきっかけをもって崩落へ向かうことでしょう。

ここでの「許容範囲」とは、株式会社の場合、将来の収益力に対する発行済株式総数であり、米国の場合、金の保有量に対するマネタリーベースのことです。

これらの発券行為は、そのどちらの場合も「影響力、統治力を分割譲渡」することを意味し、これに裏付けがなければ(またはあっても乏しければ)、その信認はいずれ失墜し、実力如何を問わず、影響力、統治力を長きに渡り失うことになります。復活すら危ぶまれるかもしれません。

米ドルはパックスアメリカーナに支えられその許容量を増やしてきました。そして金融危機以降、ジリジリとバランスが崩れ始めています。皆がほぼ世界通貨としての機能を認識し、安心して保有して来た通貨です。これへの信認がなくなれば100年に一度は愚か、千年に一度の大混乱になりかねないと考えるところです。

関連ページ: アメリカの影響力