2010年1月16日

日航 再建も無責任か...

今回の日航再建計画では、同社に融資し利ざやを稼ごうとした銀行や、株主になることで株主優待を受けつつ日航をひいきにして来た利用客、純粋に出資またはキャピタルゲイン狙いの投資家が、「資産喪失」と言う形で責任を取ることになる。通常の破産であればこうした形で引責することは当然であるが、今回の日航の破産についてもそれでいいのか疑問だ。

通常であれば機構は、不採算事業を認定し、人員と共にそれを切り捨て、スリム化を図ることで経営再建するという道筋を立てる。しかしJALは国が強く関与し、国費を投じて支援してきた企業である。経営再建だけを目指した計画であっては、投じた国費がどこに「消えた」のかを国民は知ることができない。「日航破産のメカニズム」を公表せず、国費喪失の説明を省いてただひたすら経営再建すればよいというものではない。

機構は来年度にも黒字転換し、その後の再上場も計画している。100%政府(国民)が株主であれば結構なことであるが、再上場以前に新生日航株を新規に取得する特別待遇者があってはならない。どうしても新規に出資者を必要とするのならば、現在の赤字状態から出資したいと言う個人投資家を第一に公募すべきである。裏で一部の人間だけが特権を与えられ、巨額の国費投入と税制優遇を受ける「金の卵」企業に投資するなどということが決してあってはならない

かつて日本の航空市場を独占し、殿様商売をして来た日本航空。全日空の国際線参入の際も、日航や政府関係者による新規参入の妨害工作がうわさされたが、これまで業界と行政には「不正と癒着」が本当になかったのか、それが今回の破綻の原因とはならなかったのか、なっていたとすれば誰がどのように責任を取るのかが、機構に求められる最重要作業ではないだろうか。