2011年8月6日

「米国債格下げ」がもたらす世界平和?

ついに米国債格下げ。短期的には金融市場の動揺を誘うかもしれないが、中長期的に見れば世界にとって良いことだと思う。安全を求める資金が他国債へと分散化されれば、その分「ポジショントーク」も分散化される。これまで米国に向いていた関心がもっと多くの国々に広がれば、長期的には世界観が偏ったものから、よりフェアなものへと修正される可能性がある。

本来、完璧でもない国が、世界の中心国的ポジションを欲し、その通貨を世界基軸とし続けることに無理がある。私の周囲の多くのリベラル層の米国人達も、現在の米国が世界をリードすべき大国的立場にあるとは考えていないし、また望んでもいない。

権力によってもたらされる和平は、その権威が及ぶ範囲に留まる。よって米国が世界を「所有」でもしない限り、覇権主義による世界平和など元々なし得ない。世界の関心がより多くの国々に向かい、各国の力配分の平準化が進めば、武力衝突のない真の和平が見えてくると思う。

幸い、中国も大国主義を取っていない― 仮にそう考える人がいるとすれば、それは他国脅威論をこよなく愛す日本国政府・メディアの思惑に洗脳され浸っているからかもしれない。欧米では、中国は強力なライバルではあるが、同国が軍事的脅威などという位置付けではない。

日本国政府がその防衛白書で、自国民に訴えなくてはならないほど、中国の軍事的脅威が事実ならば、日本と同盟関係にある米国は法律上、中国との共同軍事演習など行うことができないであろう。行き過ぎた世論統制は国家を危険な道へと導いていしまう。決して軍国主義に戻ることのないように心がけたい。直近の日本国防衛白書に対する中国政府の反発は半ば正当に映る。

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