2011年8月6日

中国、国債格下げで米を批判 軍事費の削減要求

半ば恐れていた事態に陥りそうな気配。ただこれは当初から分かっていたこと。まさに中国はこの時を待ちに待っていたに違いない。一国が他国に自国債を保有されることは、ある意味国家の弱みを握られるようなものである。関係が良好なうちはいいが、悪化とまでいかずとも、駆け引きが必要な場面において、債権者は言いたい事を言いはじめる。

米国に対する債権者としての立場は、日本と中国では大きく意味が異なる。ボスに「パーティ券を買わされる」立場と、牛耳るためにパーティ券を買い占めようとする立場、そのような差がある。

一般的に「金を貸した者より、借りた者の方が立場が強い」と言うが、それはその返済される金がどちらにあるかを見るときである。中国は実際、「米国に貸した金」より、自国の立場、優位性向上を優先する。言いかえれば、中国はそのカネを捨てでも、世界の富の中心の座に返り咲くための努力を惜しまないということかもしれない。

私には日本政府・メディアが醸し出す中国軍事的脅威論より、中国の「経済的」覇権論の方がより不気味に映る。

日経Web刊:

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