2011年8月17日

見え隠れする米国の景気後退

週の終り、ニューヨークは2日続伸で終わりました。これで一旦は底を打ったとみてよいのでしょうか。直近の高値から安値まで、13営業日かけて17%近く下落しました。この17%が大きいとみるのか、または十分でないとみるのかで、この先の投資戦略が大きく分かれます。

昨日でダウは直近安値から約3分の1の戻り。この先、数日かけて半値どころ(11,700ドル付近)まで自律反発し、その水準に25日線が差し掛かる頃、また下値を探る展開になると考えています。バカンスを終え、秋に向けて欧州の債務問題がよりクローズアップされてくると言われていますし、米国市場のアノマリー的な9月要因とも重なります。さらに市場は新興国の景気減速懸念を払拭できていません。

これらを考えますと、やはり今はキャッシュポジションを3050%以上にしておくべきではないかと考えています。仮にダウが直近安値の10,604ドルを終値で割り込むことがあれば、ベア相場入り濃厚と考えます。場合によっては米国景気は「減速」で収まらず、「後退」に向かう入口に立っているとも取れます。

日本のバブル後の処理に比べ、米国は格段に早く手を打ち、QE2に見られるように思い切った金融政策も取ってきています。しかしながらこれが意図した功を奏さなかったのであれば、この先日本的な景気後退とデフレに向かう可能性も否めません。

金融危機後、オバマ氏の大統領就任によって米国はその政策の方向性を変えていくであろうと考えていました。氏の志もさることながら、金融危機直後で世界が強力なリーダーシップを求めていたタイミングでもありましので、それを最大限利用することで大胆な政策を取り、世界経済を再び牽引できるのではないかと期待していました。

「核なき世界」によるノーベル平和賞の受賞までは良かったのですが、私の氏に対する期待が大き過ぎたのか、やはり業界等、各方面での関係者の影響力が勝っていたのか、氏もこれまでのところ「一大統領」の枠を脱していません。

経済も社会も、やはり政治が政治力を発揮することなくして根底を覆すことなどできません。よってありきたりの政策や、現在の米国のFRBに頼り切った経済政策では、この危機は乗り越えることができないと考えるところです。仮に中国の景気減速懸念払拭以前に、米国の景気後退懸念が強まることがあれば、その際はポジションの入替を行いたいと思います。

ご存知の通り日本経済、政治はほぼ完全に米国次第です。最近ではそこに「中国次第」も加わってしまった感があります。復興需要があるとはいえ、大胆な規制緩和(既得権打破による市場開放等)がない限りは、日本はこの先もこの二国に振り回されざるを得ないことでしょう。