2011年8月17日

金融危機は終わっていないのか― 1年前の日記

昨年の投稿時に多くのアクセスを頂いた投稿。そこで書いたことと実際の市況が、正反対になることを願っていましたが、残念ながら世界経済は未だその路線上にあります。以下「15」、昨年7月の日記より。

1. 先進諸国の財政懸念から、世界経済の先行きを不安視する傾向が続き、円に対しドル、ユーロ等が今後しばらくの間売られ続ける。

2. 外部要因及び規制緩和等の遅れから、国内の企業業績に対する悪化懸念が進み、日経平均も下げ続ける。

3. 質への逃避により債券価格が上昇するも、いずれ公的年金や国内金融機関等、投資機関自身の業績低迷などから、日本国債購入枠を減少させ、日本国財政への不信感が強まる。結果、国債価格は急落する。

4. 政治の混乱、国民生活の水準低下が進み、企業や富裕層の海外移転が加速する。

5. 産業の空洞化、国内経済の委縮が顕著となり、日本のディフォルトが現実視される。

昨年の投稿時、「1」について「ドル円は2011年後半には上昇、90円台を捉える」という意見も多くありましたが、今ではそのようなアナリストの主張はほぼ皆無ではないでしょうか。そして現在は、「2」を経て「3」へ移行中であると考えています。

ただ当時は予想だにしなかった震災の影響が今はあります。ここまで世界の成長見通しが下がり始めると、復興という需要が発生した日本に、再度資金が向かう可能性もあります。これが救いとなり日本経済を浮揚させるのか、日本全体を賄うにはいたらず、欧米、さらに新興国の調整に引きずられるのか、現状では政策次第ということになります。

既得権でがんじがらめの日本社会。環境・エネルギー政策等、世界をリードする産業が日本発で出現し、世界の常識を変えてゆくとは普通ではとても考えられませんが、ひょっとするとそんなこともあるのかもしれません。政界は元より、経済界、メディア、学界からも、「辞める人間が何をしてるんだ」と総袋叩きの菅首相。私は案外そこが強みではないかと考えています。

日本のエネルギー政策を他の先進国並みに国民寄りにするには、権力者が「捨身」で取り組まずして成し得ることはないでしょう。「捨身首相」だからできる大胆な政策もあると、私は淡い期待を抱いています。

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