2011年7月26日

自国企業の技術と愛国心は別物

北京上海間の高速鉄道開通以来、「あれは日本の技術だ!」を強調するメディア報道が続いています。同じく技術提供したドイツでは、これほどまで自国技術を強調する報道はされていないと考えています。

私がそう考える理由は、欧米では、日本のように個人が企業に所属し、企業は国家に所属するという感覚が全くないからです。

逆に日本では、日本人(法人個人を問わず)が海外で得る業績は「全日本人の誇り」といった連帯意識がとても強いと感じます。それを伝えるテレビ番組まであるようで(一体何のために?!)、一種のタカリではないかという気もします。

企業の技術はその企業に属し、その企業は株主に属します。外国人CEOを持つ企業もあれば、外国人技術者を雇用して特許を取得している企業もあります。また企業には多くの外国資本が参画しています。よって何をもってそれほどまでに「日本、我が国」を強調するのか、私には理解できません。

欧米では、国際的な企業の技術は「全国民の利するところ」などという感覚はほとんどありません。企業が赤の他人の国民生活を守るわけもなく、自らの利潤を追求することが第一の目的であると国民はよく知っています。

現に当の川崎重工も、中国鉄道省が「独自技術」と表明している事に対し、何ら正式には反論表明していません。彼らにとって先ず大切なのは、「中国というお客様」だからです。なのになぜ、全くの他人であるメディア、国民が、当事者以上に手前ごとのような感情を抱かなくてはならないでしょうか。

冷静に考えれば、川崎重工は工場等の海外移転により日本国民の雇用を奪っても、雇用関係のない日本国民の面倒みてくれることなどありません。これは同社に限らず、日本のほぼ全ての大企業は日本人雇用を減らす一方で、外国人雇用を増加させています。

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